いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「ああ俺だ、どうした?………、何故それを先方が知り得ている…?」

何か動揺するような報告があったのか、陽司が一瞬息を詰まらせた。

向こうから報告を受けるうち、次第に表情が険しくなってゆく。

「……解った。応対した者の措置は後だ。すぐに折り返す、一旦切るぞ」

陽司はなるべく平静を装った風に受話器を置くと、厳しい面持ちのまま顔を上げた。

「陽司さん…?」

「…京様、黎明の輝琉様がまた突然いらしたそうです。しかも本日は、秋雨の占部様もご一緒らしくて」

秋雨の、占部。

その名を聞いた瞬間、ずしんと胃の辺りへ重石(おもし)が圧し掛かったような思いがした。

「正門で警備担当者の一人が、周様をお見舞いに占部様がいらしたものだと勘違いをしたらしく…お二方に周様が倒れられたことを話してしまったそうなんです」

「…!!」

成程――この状況下で滅多に春雷を訪れない占部が現れたとなれば、衛視も親類である占部へ連絡が行ったのかと思い違いをしそうなものだ。

父が倒れてから可能な限り手を打っておいたつもりでいたが、詰めの甘かった自分自身に苛立ちを覚える。

「…それを聞いて、輝琉は是が非でも僕と逢いたがってる、ってところかな」

しつこく再来訪を狙っていた輝琉にとってはまたとない機会だ、これを相手が見逃す筈はない。

見舞いを兼ねて自分にだけでも逢いたいと言われれば、こちらにも無下に断れる理由はない。

「父さんが倒れた昨日の今日で、領主代行の僕が不在って言い訳は流石に苦しいか…」

「仰る通りで……しかし、いくら輝琉様とはいえ事前に何の連絡もない急な来訪に応じる必要は…!」