いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「昔みたいにはるちゃんって呼んでやればいいのに。はるもそのほうが喜ぶだろ」

「いや…それは、俺なりのけじめのつもりだったんだ」

「けじめ、ねえ?」

幼い頃――晴海を溺れさせてしまった自分に、“何があっても晴海を守る”と言い聞かせるために。

「…色々、うやむやになっちまったけどな」

自らの手で晴海を危険な目に遭わせたり、むしろ自分のほうが晴海に助けられたりと、自信を持って晴海を守れたと言える実績は殆どない。

「ふゆちゃん」

いつの間にか傍まで詰め寄ってきた晴海に、つんつんと袖を引かれる。

「ねっ…姉、ちゃん?」

何と言えばいいか判らなくて、結局今まで通りに呼んでしまった。

「あのね…おはなつんでいったら、りっくんのおとうさんよろこぶかなあ?」

「花?」

晴海の指差す先には、先程まで彼女が眺めていた花壇がある。

手入れの行き届いた其処には、区画毎に様々で彩り豊かな花たちが咲き誇っている。

「そうだなあ。でも勝手に摘んでいったら悪いから、一度京さんか愛梨さんに訊いてみような?」

「うん……なんか、ねむたくなってきた…」

眠そうに目を擦る晴海を、優しくあやすように声を掛ける。

「そっか、じゃあ部屋に戻ろう」