いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「ふゆがあたしのお腹から出てきた頃は、春に差し掛かってるのに雪がちらついてたんだ。けどその後はるが生まれる頃には雪も止んで、春らしい陽射しが出てきたから親父がそれとあんたたちの眼の色に因んだってわけ」

「ふうん。…ってちょっと待て、俺って姉ちゃんより先に生まれたのか?!」

ふと、うっかり聞き流しかけたが確かに晴海が後、と仄は言った。

「…ああ、あたしもいつ訂正しようかと思ってたんだけどさぁ」

仄はいつも通りの笑顔を見せながら軽く頭を掻いた。

「あんたには昔、はるがお姉ちゃんって教えたけど」

「うん。姉ちゃんが先に生まれたからじゃないのかよ?」

確かに幼少の頃、どちらが上なのかと母に問い質したとき、晴海が姉だと聞かされた記憶がある。

「実はあんたらが生まれた病院は逆に捉える風習があったらしくてね、後から生まれた子が上って決まりだったんだわ。だから生まれた順番はふゆのが先。はるのが後」

「はあっ!?」

「だからややこしいんだけど、生まれ順で考えるとふゆのが兄貴ってことになるんだよなあ」

今自分が認識している通例に基づくと、晴海のほうが妹ということになる。

晴海が姉、自分は弟、と長年認識していた基礎事実が覆され、風弓は困惑の色を隠せなかった。

「でっ…でも姉ちゃんは俺の姉ちゃんであって俺は弟で…その、あの、今更になって俺のが兄貴って言われても…」

「何もそんなに混乱しなくてもいいだろうが。二人一緒にあたしの腹ん中で育って、同じ日に生まれたってことは変わらないだろ」

「そりゃまあ、そうなんだけど…」

少し離れた場所でぼんやりと花を眺めていた晴海が、ふと風弓の視線に気が付いて手を降ってきた。

戸惑い気味に手を振り返すと、仄が呆れたように溜め息をつく。