いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「あなた」

珍しく愛梨が少し怒ったような口調で詰め寄ったので、周は焦ったようにたじろいだ。

「あ…愛梨、どした?」

「陸から聞いたのよ、倒れ掛けたって…」

「あー、…ああ。陸も愛梨も大袈裟だな、単なる立ち眩みだよ。いつまでも若いつもりでいたけど、そうも行かなくなってきたってだけで」

「でも、最近まともに眠っていないでしょう。顔色だってあんまり良くないわ…お兄ちゃんも心配してたもの」

「…今は休んでる場合じゃないんだよ、愛梨。お前たちがやっと戻ってきてくれたんだ…俺が守って、やらないと」

父はずっと、四年前のことを悔やんでいる。

しかし陸はそのことで父に自分のことを追い詰めて欲しくない――

「父さん…俺だって、もう小さな子供じゃないよ。父さんに守られて負担を掛けるよりも、父さんの力になりたいんだ」

「陸は十分、頑張ってるだろう?お前にこれ以上苦労を掛けたら、俺よりも先にお前が参っちまうよ」

「あなた…っでももし、あなたにまた何かあったら、わたしっ…」

愛梨の上擦った声に、周はびくりと肩を震わせる。

「父さん」

見兼ねた京が、小さく溜め息をつきながら周の肩に手を置いた。

「…母さんを泣かせたら、悠梨さんに何されるか分からないよ?」

「いや、でも…俺、は……っ」

周は困惑した様子で顔を顰めた、かと思うと――そのままがくんと膝を着いて、床に頽れた。