もし黎明の領主との話の腰を折るようなことになれば、相手に付け入られる理由を作るだけだ。
取り敢えず周が出てくるまで此処で待つしかない。
「お父さん…大丈夫かしら」
愛梨が不安げにぽつりと呟いた。
「母さん」
こんなときに、兄のように気の利いた言葉の一つでも言えればいいのに。
言葉の代わりに愛梨の手を握ると、母は弱々しく握り返してくれた。
「――どうした陸。そんなとこに突っ立って」
ふと俯いていた視線を持ち上げると、いつの間にか周と京の姿があった。
「父さんっ…」
「何だ何だ、愛梨と晴海ちゃんまで一緒か」
周は困惑したようにこちらの顔ぶれを見回した。
「黎明の領主様は…?」
「交渉の件は丁重にお断りして、帰って貰ったよ。だが近いうちにまた来るなあ、ありゃ」
周は明るく笑って見せたが、その表情には疲れが見て取れる。
事実、傍らに立つ京の表情は浮かないままだ。
「…父さん、今日の仕事はこれでもう終わり?」
「いや、でもそんなに大したことないよ。心配しなくていい」
取り敢えず周が出てくるまで此処で待つしかない。
「お父さん…大丈夫かしら」
愛梨が不安げにぽつりと呟いた。
「母さん」
こんなときに、兄のように気の利いた言葉の一つでも言えればいいのに。
言葉の代わりに愛梨の手を握ると、母は弱々しく握り返してくれた。
「――どうした陸。そんなとこに突っ立って」
ふと俯いていた視線を持ち上げると、いつの間にか周と京の姿があった。
「父さんっ…」
「何だ何だ、愛梨と晴海ちゃんまで一緒か」
周は困惑したようにこちらの顔ぶれを見回した。
「黎明の領主様は…?」
「交渉の件は丁重にお断りして、帰って貰ったよ。だが近いうちにまた来るなあ、ありゃ」
周は明るく笑って見せたが、その表情には疲れが見て取れる。
事実、傍らに立つ京の表情は浮かないままだ。
「…父さん、今日の仕事はこれでもう終わり?」
「いや、でもそんなに大したことないよ。心配しなくていい」


