いとしいこどもたちに祝福を【後編】

もし黎明の領主との話の腰を折るようなことになれば、相手に付け入られる理由を作るだけだ。

取り敢えず周が出てくるまで此処で待つしかない。

「お父さん…大丈夫かしら」

愛梨が不安げにぽつりと呟いた。

「母さん」

こんなときに、兄のように気の利いた言葉の一つでも言えればいいのに。

言葉の代わりに愛梨の手を握ると、母は弱々しく握り返してくれた。

「――どうした陸。そんなとこに突っ立って」

ふと俯いていた視線を持ち上げると、いつの間にか周と京の姿があった。

「父さんっ…」

「何だ何だ、愛梨と晴海ちゃんまで一緒か」

周は困惑したようにこちらの顔ぶれを見回した。

「黎明の領主様は…?」

「交渉の件は丁重にお断りして、帰って貰ったよ。だが近いうちにまた来るなあ、ありゃ」

周は明るく笑って見せたが、その表情には疲れが見て取れる。

事実、傍らに立つ京の表情は浮かないままだ。

「…父さん、今日の仕事はこれでもう終わり?」

「いや、でもそんなに大したことないよ。心配しなくていい」