いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「俺さ、自分のことで精一杯で、忙しい父さんに負担や心配ばかり掛けてるんだ。父さんが休めないのも、俺のせいなんじゃないかって思って…」

「陸」

諌めるような愛梨の一声に、どきりとした。

解ってる、そんな考え方は単なる被害妄想でしかないし、口にしたところで何になる訳でもない。

愛梨にもっと哀しげな顔をさせてしまうだけだ。

「違うわ…陸のせいじゃないのよ。お父さんは昔から、ちょっと無理をし過ぎちゃうところがあるの…若い頃から、ずっと…」

母は父が領主を継ぐ前の、十四の頃に知り合ったらしい。

月虹に連れ去られていたことも相俟って、今まで両親の馴れ初めなどは訊きそびれていたが、以前にも父に何かあったのだろうか。

「母さん……あの、さ…」

だったら、やはり先程のことも愛梨に伝えたほうがいいのか。

「さっき父さん…倒れ掛けたんだ。少し気が抜けただけだなんて言ってたけど…多分、相当疲れてる」

「え…?!」

愛梨の表情が途端に凍り付いた。

「っ…でも俺が言っても全然休もうとしてくれなくて…母さんから言ってくれれば、父さんも聴き入れてくれるかもしれない。だから、母さん…父さんに少しでも休んでくれるよう言って欲しいんだ」

「陸…」

詳しいことは分からないが、過去にも何かあったのなら同じことをまた繰り返させる訳にはいかない。

「りっくんのおとうさん、げんきないの?わたしにもなにかおてつだいできないかなあ」

「うん…有難う、晴」