いとしいこどもたちに祝福を【後編】

(天井が高くて助かったっ…)

「上だ!!」

眼下に見える八人が素早く次の詠唱を始めたが、それよりも先に魔力を抑える結界を部屋全域に張り巡らせた。

これで“魔導士”なら、もう反撃は出来ない筈――

「うわっ!!」

そのことにほんの一瞬油断し掛けたそのとき、地面から無数の巨大な石の柱がせり上がってきた。

咄嗟に放った風の刃が、既(すんで)のところまで迫っていた石柱を粉々に砕く。

(魔導士の中に能力者が紛れてる…!誰だ…っ!?)

身を捩って天井へ足を着くと、その瞬間に八人の姿を見回して霊力の流れを辿る。

「あんたかっ!」

下降しながらその能力者の姿を捉え、相手を転倒させる程度の風を浴びせた。

「ぐあっ!!」

ばちんと空気の爆ぜる音を伴って男が後方に弾き飛ばされたのを見届けると、香住が俄に立ち上がった。

「――よろしい。其処までだ皆、下がれ」

「!」

その言葉を合図に、八人の術者たちは退き下がっていった。

香住が手にしている杖で床を小突いたと同時に、一連の攻防で破損した床や壁が、映像を巻き戻すかのように修復されてゆく。

咄嗟のものとはいえ、まだ陸の張った魔力封じの結界の効果は続いている筈なのに。