だが不意に屈託なく男から話し掛けられて、少々面食らった。
「陸様のお髪(ぐし)や眼のお色は、この国の雪景色と良く似合いますね。まるで冬霞で伝わる御伽噺(おとぎばなし)に登場する雪の精の化身のようで、とても幻想的でお綺麗です」
「はあ…あ、有難う」
聞けば彼は邸仕えの一般人らしく、どうも住民全てが霊奈や春雷を嫌っている訳ではないらしい。
取り敢えず安心したが、必要以上に気を張っていたせいか何だか拍子抜けしてしまう。
――そうこうしているうちに、下降し続けていた昇降機の動きが止まり、次いで自動扉が開かれた。
「さ、領主様のお邸はこちらです」
男に促され昇降機を降りると、正面に見える邸らしい建物まで真っ直ぐに通路が伸びていた。
通路から眼下を覗き込むと、更に下層に広大な街が広がっている。
「如何ですか、我が国の街並みは」
「凄い…此処からだと街の様子が一望出来るんだ」
「ええ。この通路は一般人には解放していない要人専用でして、眺めも格別なのですよ」
成程、本当に巨大な空洞の中に街がすっぽりと納まっており、天辺には光輝く光球が浮かんでいた。
「あれは?」
「領主様のお力で創られたこの街の太陽です。あの光のお陰で、街が暗闇や寒さに悩まされることはありません。夕刻や夜半には光加減も変化するよう調整されているんですよ」
「へえ…凄いな、太陽を作り出すなんて」
この地下全体を照らす程の光を常に維持するとは、流石は魔導士名門である獅道の頭領という訳か。
「さ、領主様がお待ちです。参りましょう」
「陸様のお髪(ぐし)や眼のお色は、この国の雪景色と良く似合いますね。まるで冬霞で伝わる御伽噺(おとぎばなし)に登場する雪の精の化身のようで、とても幻想的でお綺麗です」
「はあ…あ、有難う」
聞けば彼は邸仕えの一般人らしく、どうも住民全てが霊奈や春雷を嫌っている訳ではないらしい。
取り敢えず安心したが、必要以上に気を張っていたせいか何だか拍子抜けしてしまう。
――そうこうしているうちに、下降し続けていた昇降機の動きが止まり、次いで自動扉が開かれた。
「さ、領主様のお邸はこちらです」
男に促され昇降機を降りると、正面に見える邸らしい建物まで真っ直ぐに通路が伸びていた。
通路から眼下を覗き込むと、更に下層に広大な街が広がっている。
「如何ですか、我が国の街並みは」
「凄い…此処からだと街の様子が一望出来るんだ」
「ええ。この通路は一般人には解放していない要人専用でして、眺めも格別なのですよ」
成程、本当に巨大な空洞の中に街がすっぽりと納まっており、天辺には光輝く光球が浮かんでいた。
「あれは?」
「領主様のお力で創られたこの街の太陽です。あの光のお陰で、街が暗闇や寒さに悩まされることはありません。夕刻や夜半には光加減も変化するよう調整されているんですよ」
「へえ…凄いな、太陽を作り出すなんて」
この地下全体を照らす程の光を常に維持するとは、流石は魔導士名門である獅道の頭領という訳か。
「さ、領主様がお待ちです。参りましょう」


