「だから愛梨さんと初めてお逢いしたときは、あの頃の陸と印象が似ていて驚きました。けどそれ以上に…陸は眼が周さんにそっくりなんですね。だからか、架々見は陸の紅い眼を酷く嫌ってた…」
架々見は陸に、愛梨の姿を重ねようとしていたのだろう。
同時に、周の面影を打ち消そうとするも叶わず、陸に対して愛憎入り交じった異様な執着心を抱いている。
「…陸は集められた能力者の中でも群を抜いて強くて、互角を張れたのはあの香也だけです。なのに…」
「……風弓くん?」
――これから先の話を、話すべきか迷った。
恐らくこれが、陸が周に話をしたがらない一番の理由であろうし、周にとっても聞き苦しい内容ではなかろうか。
もしも自分が陸と逆の立場でも、家族にこんなこと話したくないし知られたくもない。
「…いいよ、どんな話でも。俺の知らないあの子のことなら、俺は聞いておきたいんだ」
ああ、でもきっと、父も同じことを願うだろう――そう思い切り、風弓は意を決した。
「……実戦演習ではいつも負けなしで殆ど無傷なのに、何故か陸はよく顔に傷を作ってました。不思議に思って理由を訊ねたら、父は明言を避けましたけど……多分、架々見に殴られてたみたいです。かなり、日常的に」
「っ……!!」
周は表情を凍り付かせると、右拳をぎしりと固く握り締めた。
「…本当に、才臥さんには感謝してもし切れないな…彼がいてくれたお陰で陸は、壊れずに済んだんだから」
「周さん…」
確かに、父がいなければ陸は架々見の望む通り精神が破綻してしまっていたかも知れない。
だからこそ架々見は父を疎んじていた――それで陸の脱走を理由に、父を始末しようとしたのか。
しかし、父はその架々見の思惑を外れ月虹の何処かで生き延びている…?
架々見は陸に、愛梨の姿を重ねようとしていたのだろう。
同時に、周の面影を打ち消そうとするも叶わず、陸に対して愛憎入り交じった異様な執着心を抱いている。
「…陸は集められた能力者の中でも群を抜いて強くて、互角を張れたのはあの香也だけです。なのに…」
「……風弓くん?」
――これから先の話を、話すべきか迷った。
恐らくこれが、陸が周に話をしたがらない一番の理由であろうし、周にとっても聞き苦しい内容ではなかろうか。
もしも自分が陸と逆の立場でも、家族にこんなこと話したくないし知られたくもない。
「…いいよ、どんな話でも。俺の知らないあの子のことなら、俺は聞いておきたいんだ」
ああ、でもきっと、父も同じことを願うだろう――そう思い切り、風弓は意を決した。
「……実戦演習ではいつも負けなしで殆ど無傷なのに、何故か陸はよく顔に傷を作ってました。不思議に思って理由を訊ねたら、父は明言を避けましたけど……多分、架々見に殴られてたみたいです。かなり、日常的に」
「っ……!!」
周は表情を凍り付かせると、右拳をぎしりと固く握り締めた。
「…本当に、才臥さんには感謝してもし切れないな…彼がいてくれたお陰で陸は、壊れずに済んだんだから」
「周さん…」
確かに、父がいなければ陸は架々見の望む通り精神が破綻してしまっていたかも知れない。
だからこそ架々見は父を疎んじていた――それで陸の脱走を理由に、父を始末しようとしたのか。
しかし、父はその架々見の思惑を外れ月虹の何処かで生き延びている…?


