「そうか…陸も愛梨さんも姉ちゃんが話すの、待っててくれてるもんな」
元々幼い子供の扱いが得意らしい愛梨の性質を、陸は受け継いだのだろう。
「…陸も、姉ちゃんのことが好きだよ。姉ちゃんのことを、とっても大切に思ってくれてる」
「ほんと…?」
「うん。今度出掛けなきゃいけない用事が出来たのも、姉ちゃんを守ってくれるために必要なことなんだ。だから…」
「……うん。わたし、さみしいけどちゃんとおるすばんするよ」
「…ん」
(だから早く陸のこと思い出してやって、仲直りしてくれよ。でないとあいつ、また無茶しそうで危なっかしいんだ)
――そのとき、入口の扉を叩く音が響いて風弓と晴海は同時に扉を振り向いた。
「…どうぞ」
陸が戻ってきたのだろうと思っていたが、開いた扉の向こうから現れたのは周だった。
「二人共、少しだけ時間を貰えるか?」
「…っ!」
周は遠慮がちにこちらへ微笑んで見せたが、やはり陸と愛梨以外の人間はまだ駄目らしい晴海は、素早く風弓の陰に隠れてしまった。
「姉ちゃん」
「ああ。気にしなくていいよ」
そう言ってまた笑う周の表情は、京や陸と良く似ている。
そのためつい忘れがちだが、彼は一国の領主だ――その周と陸抜きで初めて対面することに気付き、思わず肩に力が入る。
元々幼い子供の扱いが得意らしい愛梨の性質を、陸は受け継いだのだろう。
「…陸も、姉ちゃんのことが好きだよ。姉ちゃんのことを、とっても大切に思ってくれてる」
「ほんと…?」
「うん。今度出掛けなきゃいけない用事が出来たのも、姉ちゃんを守ってくれるために必要なことなんだ。だから…」
「……うん。わたし、さみしいけどちゃんとおるすばんするよ」
「…ん」
(だから早く陸のこと思い出してやって、仲直りしてくれよ。でないとあいつ、また無茶しそうで危なっかしいんだ)
――そのとき、入口の扉を叩く音が響いて風弓と晴海は同時に扉を振り向いた。
「…どうぞ」
陸が戻ってきたのだろうと思っていたが、開いた扉の向こうから現れたのは周だった。
「二人共、少しだけ時間を貰えるか?」
「…っ!」
周は遠慮がちにこちらへ微笑んで見せたが、やはり陸と愛梨以外の人間はまだ駄目らしい晴海は、素早く風弓の陰に隠れてしまった。
「姉ちゃん」
「ああ。気にしなくていいよ」
そう言ってまた笑う周の表情は、京や陸と良く似ている。
そのためつい忘れがちだが、彼は一国の領主だ――その周と陸抜きで初めて対面することに気付き、思わず肩に力が入る。


