いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「…そういえば京さんは陸と幾つ歳が離れてるんですか?」

「僕?陸の五つ上だよ。今年で二十三」

「えっ…」

「あれ、もしかしてもっといってると思ってた?」

「逆ですっ!あんまり陸と変わらないように見えるのでっ」

咲良から聞いた話を思い出せば、そんなに歳が近くはない筈だと判るのだが――何となく二、三歳差くらいだと思い込んでいた。

「でも、周さんもまだお若いですよね…?」

確か以前日野が、四十前だと言っていたのを聞いたような。

「父さんは三十九歳だよ。諸事情あって早くに僕の母親と結婚したからね」

「…!」

自分と同い年の頃には既に一児の父親、ということに動揺を通り越して軽く目眩を覚えた。

「…僕が早くに生まれたから、父さんは大変なんだ。だから僕がその負担をなるべく軽くしなきゃ」

不意に京は笑顔を打ち消して、憂いを含んだ眼で彼方を見据えた。

「京さん」

「そうだ、父さんは上手く説得出来たけど…夕夏ちゃんには話せたかい?」

ふと話を振られて、夕夏の元へ赴いた本来の目的を思い出した。

「…やっぱり言い出せなかったんです。それに、今は賢夜の傍にいてあげて欲しくて」

「そうだね…彼女なら無理をしてでも、自分も一緒に行くと言い兼ねないし」