いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「でも……りっくんってよんでもいいなら、はるってよんでもいいよ?」

「え」

晴海はそう言って、期待に満ちた眼差しでこちらを見上げた。

「………っ分かった」

「!ありがとう、りっくん」

やはり少し気恥ずかしいけれど、また自分にその愛称で呼ばせてくれるのなら、これくらい安いものだ。

「…俺、晴のお父さんを知ってるんだ。晴のお父さんは、とっても優しい人だよね」

それでもまだこちらに対して少し表情の固かった晴海だが、そう告げた瞬間、ぱっと顔を綻ばせて頷いた。

「うん!だけど、かあさんにはやさしすぎてもだめだよっていつもおこられてるの。でも…わたしはやさしいとうさん、すき」

「へえ」

充と仄とも面識があるせいか、何となくその光景が想像出来てしまって思わず吹き出した。

「ああ。俺、晴のお母さんにも逢ったことがあるんだよ」

「……そうなの?りっくん、とうさんとかあさんともおともだちなんだね」

「そう、かな。晴のお母さんも、お父さんと同じくらい優しくて…強い人だよね」

「うん。かあさんはおこるととってもこわいけど、ほんとはすごくやさしいんだよ」

晴海はそう言って嬉しそうに笑っていたが、ふと突然表情を沈ませて俯いた。

「……かあさん、とうさん」

両親の話を振ってしまったために、二人が恋しくなったのだろう。