いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「――夕夏ちゃんの様子、どうだった?」

別の所へ用事があると言っていた京は、病院の待合室で合流してすぐにそう切り出した。

「まだ、ちょっと元気がなかったです…私には心配掛けまいと振る舞ってくれるんですけど」

「そうか…」

「あ、でも作って行ったご飯はちゃんと全部食べてくれたんですよ」

心配げに溜め息をついた京へ空になった重箱を持ち上げて見せると、京はくすりと笑みを浮かべた。

「それは良かった。晴海ちゃんの手料理か、僕も食べてみたかったな」

「あ、はいっ…わ、私が作った料理なんかで良かったらっ」

思わず赤面してそう告げると、京はまたくすくすと笑った。

「有難う。でも陸に了承して貰わないとなあ、あの子はすぐに焼きもちを焼くから」

「え…」

「小さい頃からね、あの子は僕や両親が自分以外の子供に構ってるとすぐ膨れるんだ。大好きな人を取られたって思い込むみたいで、ご機嫌斜めになるんだよ」

思い当たる節がないような、あるような――

「まあ、膨れてる陸も可愛いんだけど。流石に晴海ちゃんのことでからかったら、また嫌われそうだ」

「…また?」

何となく含みのある言葉が気に掛かったが、京は笑顔のままで小さく首を振った。

「ん、何でもないよ。そうだ、後で陸の小さい頃の写真でも見るかい?女の子みたいでとても可愛かったんだ」

何だろう、もしかしたら触れて欲しくない話題だったのだろうか。