いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「――当たり前だろ。俺の妹なんだからな」

「ゆ…悠梨さんっ?!」

突如背後に現れた伯父に、陸と京は揃って勢い良く振り返った。

「ふっ、俺に気付かないとはお前たちもまだまだお子様だな」

「出たな兄馬鹿。今まで何処に隠れていやがった」

「煩いぞ親馬鹿、何処にいようと俺の勝手だろう」

周よりも少々上背の悠梨は、つと差し出した指先で周の眉間をぱしんと弾いた。

「い、てっ」

「…お前、顔色悪いぞ。目付きが悪いのは昔からだけどな。仕事で張り切るのは結構だが、万一倒れでもしたら悲しむのは俺の愛梨と可愛い甥っ子たちなんだからな?気を付けろよ」

聞けば、近頃の周は仕事が繁雑を極めているらしい。

今は来客の対応にも追われ、その合間にはこうして自分たち家族のことまで色々と気を回してくれている。

そんな周の激務ぶりを、悠梨は悠梨なりに気に掛けているようだった。

「…心配してくれて有難うな。それから愛梨は俺のだぞ」

「ほう。やった覚えはないが」

京は呆れ顔で始まった、と呟くと周と悠梨の間に割って入った。

「恥ずかしいからそろそろ止めにしてくれる?夕夏ちゃんが驚いてるじゃないか」

「え…ああ、お構いなく…」

突然引き合いに出された夕夏は、どうしたものかと困り果てた様子で苦笑いを浮かべていた。