いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「晴海ちゃんも、お父さんやお母さんに似てるって言われたことあるんじゃないかしら?」

「あ……わたし、よくかあさんににてるねっていわれるよ!……でも…いま、かあさんととうさん、いないの」

晴海は少し嬉しそうに身を乗り出したが、両親のことを思い出してふと寂しげに俯いた。

「そう…それは寂しいわね。私も陸と離れ離れになってしまって、とても寂しかったことがあるわ」

「……そうなの?」

「でも…ある女の子が陸を助けてくれたから、私はもう寂しくないのよ。だから今度は……私がその女の子の力になりたいの」

優しく包み込むように抱き締められ、晴海は少し戸惑うように愛梨を見上げた。

「……、ぁ…」

しかしそのうち、受け入れるように愛梨の身へ頬を擦り寄せた。

「……あいり、さん。かあさんとおんなじ、いいにおいがする」

「ふふっ、本物のお母様には敵わないでしょうけどね…そう思って貰えるなら嬉しいわ――」

「…すげえ」

すっかり愛梨に懐いた晴海の姿を目の当たりにし、自然と感嘆の言葉が口から漏れた。

あんなに頑なだった晴海がこうもすんなり懐いてしまうなんて。

愛梨の人柄故にか、それとも母親としての強味や柔軟さというものだろうか。

「凄いな、母さん…」

呆気に取られる自分と陸に、京はくすくすと笑って見せた。

「そうだよ。凄いんだ、お前と僕の母さんは」