「いいよ。夕夏、やっと笑ってくれたし」
「あれ…そうだっけ」
自分としては先程から笑っているつもりだったのだが、どうやら上手く出来ていなかったらしい。
「もう、自分で気付いてなかったの?あ…花瓶のお花、萎れちゃってるよ。お水替えてくるね」
晴海は苦笑しながら、いつの間にやら看護師が添えてくれたらしい花瓶を持ち上げて一旦部屋を出ていった。
「――ほんとに。いい子だよね、晴海は…あんたらが惹かれるのも良く解るよ」
晴海の背を見送ってから、夕夏はぽつんと呟く。
「なんか、お陰でほっとしたら急にお腹減ってきたかも」
受け取って両手に抱えたままだった包みは、まだほんの少し温かい。
一人分にしては幾分大きめな包みを開いてみると、小ぶりの二段造りの重箱にお握りやら沢山のおかずやらが所狭しと詰められている。
広い台所での料理に晴海も張り切ってしまったのか、これは明らかに夕夏一人では食べ切れない程だ。
それとも、一緒に食べようと自分の分もまとめて詰めてきたのだろうか。
「晴海が戻ってきたらみんなで食べようか。…ねえ、賢」
+ + +
「あれ…そうだっけ」
自分としては先程から笑っているつもりだったのだが、どうやら上手く出来ていなかったらしい。
「もう、自分で気付いてなかったの?あ…花瓶のお花、萎れちゃってるよ。お水替えてくるね」
晴海は苦笑しながら、いつの間にやら看護師が添えてくれたらしい花瓶を持ち上げて一旦部屋を出ていった。
「――ほんとに。いい子だよね、晴海は…あんたらが惹かれるのも良く解るよ」
晴海の背を見送ってから、夕夏はぽつんと呟く。
「なんか、お陰でほっとしたら急にお腹減ってきたかも」
受け取って両手に抱えたままだった包みは、まだほんの少し温かい。
一人分にしては幾分大きめな包みを開いてみると、小ぶりの二段造りの重箱にお握りやら沢山のおかずやらが所狭しと詰められている。
広い台所での料理に晴海も張り切ってしまったのか、これは明らかに夕夏一人では食べ切れない程だ。
それとも、一緒に食べようと自分の分もまとめて詰めてきたのだろうか。
「晴海が戻ってきたらみんなで食べようか。…ねえ、賢」
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