いとしいこどもたちに祝福を【後編】

二人には、時間が要るんだ。

晴海は控え目な性格だから、きっと弟の置かれている現状に気後れしているのだろう。

それに加え、陸が変化したことによって生じた彼女の動揺は、こちらが思っているよりも大きかったかも知れない。

(…もっと早くに気付いてあげられれば良かったな)

すると陸はゆっくり顔を上げて、何かを振り払うようにぶるぶると頭を振った。

「…晴を迎えに行かなきゃ」

「そうか。じゃあ、明日の予定は断るのかな」

「……そのことなんだけど、やっぱり受けなきゃ駄目なんだよな」

陸が最も不機嫌たる原因――それは、明日訪れる各国の要人の令嬢たちと見合いをするよう申し込まれたせいだ。

「お前が嫌なら断っていいよ。父さんだって乗り気じゃないし」

しかも、複数の家から纏めて数十件。

「でも断ったら、父さんの立場が悪くなるじゃない。申し出てきた相手の中には、月虹のことで支援して欲しい人も多いんだし」

「…正直、それとこれとは別問題なんだけどな。正攻法じゃ断られるって目に見えてるから、支援を条件に絡めてきたんだよ。何なら僕が代わろうか」

「…ありがと、兄さん。でもそれじゃ俺はいつまでも父さんや兄さんに甘えてしまう…父さんの足を引っ張りたくないんだ。ちゃんと逢うよ、申請が来てる全員」

「でも、全員と逢うとなると明日どころか数日はかかるよ?何人分申請が来たと思ってるんだい」

「十五人、だっけ」

「惜しい。十六人だよ」

「……多いな」