いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「…多分、病院。風弓か夕夏のところだよ」

確かに春雷で彼女が行きそうな場所となると、限られてくる。

「居場所が判ってるんなら、早く迎えに行っておやり?」

「うん…」

だが、陸の表情は浮かないままだ。

「…怖い?嫌われたかも知れないから」

「……晴が好きなのは俺じゃなくて、炎夏で出逢った頃の…記憶がなかった頃の俺なんじゃないかって、ふと思ったんだ」

「…ああ。戻ってきた当初のお前は確かに借りてきた猫みたいだったからね」

強(あなが)ち検討外れな言い分ではないかも知れない。

晴海が今まで接してきた陸は、感情の起伏が薄く、遠慮がちで物静かな印象が強い。

自分も良く知る現在の陸は表情豊かで、少し我が強くて、割と奔放だ。

真逆、とまではいかないが、かなり懸隔(けんかく)している感は否めない。

晴海がその違いに戸惑いを感じるのも仕方ないだろう。

「四年前までのお前も、この四年間を過ごしたお前も、陸であることには変わりないよ。どの陸が本来の陸なのか、決めるのはお前自身なんだから」

いずれの姿も見ている自分からすれば、どちらの陸も本質的には同じだと解っているのだが。

「晴海ちゃんが以前の陸を望んでいて、お前もそう在りたいのなら、その通りにすればいいんじゃないか?」

「晴が望む、俺…?」

「僕は、そういうことじゃないと思うけどな」