いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「何で昨日、すぐ俺に話してくれなかったんだ」

「あ…あのときは…結局、何もなかったからっ…香也も、何もする気はないって、言ってたし…」

ずきん、とまた胸が痛み始めた。

「だからってあいつの言うことを素直に信じたのか…!それも晴のことを油断させるための、嘘かも知れないのに」

つらそうに眉を顰めた陸の両手に、肩を強く掴まれ晴海はびくりと萎縮した。

「ごめん、なさい……でも、あのとき香也は、嘘は言ってないと思ったから…」

「あいつが晴に何したか忘れたのかよっ!!」

「っ!」

初めて浴びせられた陸の怒鳴り声に、思わず身を縮めて戦慄する。

「忘れて、なんか…」

「なら、何であいつを庇うようなこと言うんだよ…!俺はそんなに頼りないのか?」

「違うよ…!陸に余計な心配、掛けたくなくて…」

「俺が、充さんや風弓のこと黙ってたからっ…俺のことを信じられないのも無理ないかも、知れないけど…」

「違う、父さんたちのことはもういいの…!」

ざわざわと湧き上がるこの不安感はなんだろう。

「りく…っ」

いつも陸はちゃんとこちらの話を聴いてくれるのに、今日は、陸に自分の声が全然届いていない。

普段なら陸は必ず、こちらの眼を見て話をしてくれたのに――