「愛梨様や陸様を貶すことは、再婚を決断なさった旦那様やお二人を大切になさる京様にも失礼だって解らないのかしらね…」
悲しげな咲良の呟きに、賛同して深く頷いた。
あれだけ絆の深い家族の仲を、周囲の人間がとやかく言うなんて止めて欲しい。
「人の上に立つ人間がそんな調子なのは良くないわよねえ。炎夏も今度は立派な領主様が選ばれるといいけど」
「?…炎夏、ですか?」
ふと何の気なしに呟かれた国の名を繰り返すと、咲良はああ、と声を上げて両手をぱちんと合わせた。
「そうだったわ晴海ちゃん!京様から事付けがあってね、炎夏の国と連絡が取れるようになったのよ!」
炎夏の国が――?
「!じゃあ領主様相手の暴動っていうのは、収まったんですか?」
「そうなのよ。歳を取ると物忘れが酷くって嫌だわ、ごめんなさいね」
咲良は恥ずかしそうに苦笑いを浮かべたが、他の使用人によれば咲良はまだまだ現役らしいし見た目も若々しい。
「それで、今までの領主様は失脚して新しい領主様を住民主体で決め直すんですって。ちゃんと正式な領主の交替として黎明から認可もされるみたい」
秦の父親が失脚――ということは自分たちが追われる理由もなくなる、と考えていいのだろうか。
多少は秦のことも気に掛かったが、陸に対しての行いを思い返すとあまり同情する気にはなれなかった。
「京様が炎夏の上層を通じて晴海ちゃんのお母様に連絡を試みたんだけど、まだ正式な領主様が決まってないからか難しいみたいで」
「大丈夫です、もう電話が繋がるなら自分で家に連絡してみます」
「そうね、そのほうが早いかも知れないわ。今まで混乱してた回線も復旧したみたいだし、後で電話のある部屋を教えるわね」
「有難うございます」
悲しげな咲良の呟きに、賛同して深く頷いた。
あれだけ絆の深い家族の仲を、周囲の人間がとやかく言うなんて止めて欲しい。
「人の上に立つ人間がそんな調子なのは良くないわよねえ。炎夏も今度は立派な領主様が選ばれるといいけど」
「?…炎夏、ですか?」
ふと何の気なしに呟かれた国の名を繰り返すと、咲良はああ、と声を上げて両手をぱちんと合わせた。
「そうだったわ晴海ちゃん!京様から事付けがあってね、炎夏の国と連絡が取れるようになったのよ!」
炎夏の国が――?
「!じゃあ領主様相手の暴動っていうのは、収まったんですか?」
「そうなのよ。歳を取ると物忘れが酷くって嫌だわ、ごめんなさいね」
咲良は恥ずかしそうに苦笑いを浮かべたが、他の使用人によれば咲良はまだまだ現役らしいし見た目も若々しい。
「それで、今までの領主様は失脚して新しい領主様を住民主体で決め直すんですって。ちゃんと正式な領主の交替として黎明から認可もされるみたい」
秦の父親が失脚――ということは自分たちが追われる理由もなくなる、と考えていいのだろうか。
多少は秦のことも気に掛かったが、陸に対しての行いを思い返すとあまり同情する気にはなれなかった。
「京様が炎夏の上層を通じて晴海ちゃんのお母様に連絡を試みたんだけど、まだ正式な領主様が決まってないからか難しいみたいで」
「大丈夫です、もう電話が繋がるなら自分で家に連絡してみます」
「そうね、そのほうが早いかも知れないわ。今まで混乱してた回線も復旧したみたいだし、後で電話のある部屋を教えるわね」
「有難うございます」


