いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「――お早う、晴海ちゃん」

今朝は、咲良が朝食を部屋まで運んできてくれた。

昨日までは京や周とも一緒に食事をしていたのだが、食事に使っていた広間を今朝から来賓用に開放するとのことでの対応だった。

霊奈家の面々は朝から来客の接待に追われ、ゆっくり朝食を摂る暇(いとま)もないらしい。

例外として、悠梨だけはこういった場に引き出されそうになる前に「俺は善良な一般人だから」と、いつの間にかいなくなってしまうそうだが。

「お早うございます、咲良さん。朝ご飯、持って来て頂いてしまってすみません。私、自分で取りに行ったのに」

「いいのよ。貴女だって、大事なお客様なんだから」

どちらかと言うと、居候に近いような気もするが。

「ごめんなさいね?晴海ちゃんに独りで食事させるなんて、陸様や旦那様たちもさせたくなかったのだけど」

「いえ、皆さん忙しいのに、気に掛けて頂けるだけで十分ですよ」

咲良を含む使用人たちは、朝早いため既に朝食は済ませているというし。

「せめて夕夏ちゃんがいればね。あの子はあの子できちんと食べてるか心配だし」

ただ、咲良は食事中の話し相手として部屋に残っていてくれた。

「私、お昼前に今日もまた様子を見に行ってきますね。そうすれば一緒にお昼は食べられますから」

「そうねえ、向こうでなら弟さんたちも一緒だものね。お邸は暫く慌ただしいでしょうし、来客の中には色々面倒な方もいらっしゃるからそれがいいかも知れないわ」

面倒な来客――と聞いて、思わずあの真都のことを連想してしまった。

彼はまだ春雷に滞在しているのだろうか。

「あの、咲良さん」