「そう、晴の…俺への気持ち」
「私の……」
「ゆっくりで、いいよ。晴が伝えたくなったときに、晴の伝えたい言葉を口にしてくれれば」
わたしの、伝えたい、ことば。
「月虹で言ってくれた言葉が晴の一番率直な気持ちだって解ってる。だけどそれまでと、それからで…色々あったせいか晴に嫌われてないかって、少し不安だったんだ」
陸のことを嫌いになんて、ならない。
「…ならないよ。嫌いになんて」
そう告げると、安堵の表情を浮かべた陸の両腕に抱き締められた。
「良かった」
自分が恐れていたのは、身分差という名の境界線。
それから、記憶を取り戻した陸へ自分が勝手に抱(いだ)いた違和感――
「…少し肌寒くなってきたし、今日はそろそろ戻ろうか。晴、おなか減ってるだろ」
すっかり日が落ちて暗くなった辺りを見回すと、陸は来たときと同じように晴海の手を引いて歩き出した。
『あいつはいずれ、お前と離れなきゃならなくなる。たとえあいつ自身がそれを望まなくても、な』
――瞬間、何故か不意に香也から告げられた言葉を思い出す。
「…っ」
「晴、どうした?」
突然歩みを止めたので、陸が心配げに声を掛けてくる。
「私の……」
「ゆっくりで、いいよ。晴が伝えたくなったときに、晴の伝えたい言葉を口にしてくれれば」
わたしの、伝えたい、ことば。
「月虹で言ってくれた言葉が晴の一番率直な気持ちだって解ってる。だけどそれまでと、それからで…色々あったせいか晴に嫌われてないかって、少し不安だったんだ」
陸のことを嫌いになんて、ならない。
「…ならないよ。嫌いになんて」
そう告げると、安堵の表情を浮かべた陸の両腕に抱き締められた。
「良かった」
自分が恐れていたのは、身分差という名の境界線。
それから、記憶を取り戻した陸へ自分が勝手に抱(いだ)いた違和感――
「…少し肌寒くなってきたし、今日はそろそろ戻ろうか。晴、おなか減ってるだろ」
すっかり日が落ちて暗くなった辺りを見回すと、陸は来たときと同じように晴海の手を引いて歩き出した。
『あいつはいずれ、お前と離れなきゃならなくなる。たとえあいつ自身がそれを望まなくても、な』
――瞬間、何故か不意に香也から告げられた言葉を思い出す。
「…っ」
「晴、どうした?」
突然歩みを止めたので、陸が心配げに声を掛けてくる。


