いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「そう、晴の…俺への気持ち」

「私の……」

「ゆっくりで、いいよ。晴が伝えたくなったときに、晴の伝えたい言葉を口にしてくれれば」

わたしの、伝えたい、ことば。

「月虹で言ってくれた言葉が晴の一番率直な気持ちだって解ってる。だけどそれまでと、それからで…色々あったせいか晴に嫌われてないかって、少し不安だったんだ」

陸のことを嫌いになんて、ならない。

「…ならないよ。嫌いになんて」

そう告げると、安堵の表情を浮かべた陸の両腕に抱き締められた。

「良かった」

自分が恐れていたのは、身分差という名の境界線。

それから、記憶を取り戻した陸へ自分が勝手に抱(いだ)いた違和感――

「…少し肌寒くなってきたし、今日はそろそろ戻ろうか。晴、おなか減ってるだろ」

すっかり日が落ちて暗くなった辺りを見回すと、陸は来たときと同じように晴海の手を引いて歩き出した。

『あいつはいずれ、お前と離れなきゃならなくなる。たとえあいつ自身がそれを望まなくても、な』

――瞬間、何故か不意に香也から告げられた言葉を思い出す。

「…っ」

「晴、どうした?」

突然歩みを止めたので、陸が心配げに声を掛けてくる。