「好きだ、晴」
「…!」
「やっと、こうして面と向かって言えた」
陸は苦笑しながら繋いだ掌を少し強く握る。
「……本当はあの時計塔で言ったみたいな形じゃなく、もっときちんと伝えたかったんだ。俺の気持ちや、充さんと風弓のこと」
そうだ――春雷が襲撃を受けた日、話があると陸は事前に言っていた。
「炎夏で、傍にいて欲しいって言ってくれた時点で、すぐにでも話したかった。だけど自分の素性が知れない上に、充さんを見捨ててきた俺には…何も言えなかった」
ずっと頑なだった陸が、漸く心を開いてくれたときのことだ。
あの頃から陸はよく笑うようになってくれて、とても嬉しかった。
「でもみんなが俺の家族を探してくれることになったから…だから、家族が見付かったらそのときに全部話そうって決めてたんだ」
「陸…」
「なのに結局、あんな状況で打ち明けてしまったら…晴のことを困らせるって解ってた。でも、俺は香也の話を聞いた晴に軽蔑されたと思ったから…せめて俺の気持ちを知って欲しかった」
軽蔑――そういえば陸は、仄の前でもそんな言葉を口にしていた。
充や風弓を差し置いて月虹から脱出したことを、自分や仄に責められると思っていたのだろうか。
「そんなことない。私は…確かにあのときは動揺してて、誰の話を信じればいいか解らなかったけど…陸がいつも父さんのこと、沢山話してくれてたことを思い出したから」
「…充さんが初めて家族の話をしてくれたとき、言ってたんだよ。奥さんと娘を月虹に関わらせたくないから、二人には行き先を告げないで家を出たんだって」
「じゃあ、母さんも二人の居場所は知らなかったんだ…」
「仄さんは、薄々何か感付いてたのかも知れない。それでもずっと、俺のことを信頼してくれた」
「…!」
「やっと、こうして面と向かって言えた」
陸は苦笑しながら繋いだ掌を少し強く握る。
「……本当はあの時計塔で言ったみたいな形じゃなく、もっときちんと伝えたかったんだ。俺の気持ちや、充さんと風弓のこと」
そうだ――春雷が襲撃を受けた日、話があると陸は事前に言っていた。
「炎夏で、傍にいて欲しいって言ってくれた時点で、すぐにでも話したかった。だけど自分の素性が知れない上に、充さんを見捨ててきた俺には…何も言えなかった」
ずっと頑なだった陸が、漸く心を開いてくれたときのことだ。
あの頃から陸はよく笑うようになってくれて、とても嬉しかった。
「でもみんなが俺の家族を探してくれることになったから…だから、家族が見付かったらそのときに全部話そうって決めてたんだ」
「陸…」
「なのに結局、あんな状況で打ち明けてしまったら…晴のことを困らせるって解ってた。でも、俺は香也の話を聞いた晴に軽蔑されたと思ったから…せめて俺の気持ちを知って欲しかった」
軽蔑――そういえば陸は、仄の前でもそんな言葉を口にしていた。
充や風弓を差し置いて月虹から脱出したことを、自分や仄に責められると思っていたのだろうか。
「そんなことない。私は…確かにあのときは動揺してて、誰の話を信じればいいか解らなかったけど…陸がいつも父さんのこと、沢山話してくれてたことを思い出したから」
「…充さんが初めて家族の話をしてくれたとき、言ってたんだよ。奥さんと娘を月虹に関わらせたくないから、二人には行き先を告げないで家を出たんだって」
「じゃあ、母さんも二人の居場所は知らなかったんだ…」
「仄さんは、薄々何か感付いてたのかも知れない。それでもずっと、俺のことを信頼してくれた」


