「今日は僕と一緒に邸に帰ろう。元々、そろそろ晴海ちゃんを迎えに行くところだったんだよ」

「…京さん、陸は?」

晴海よりも先に、風弓が少し不服げに問うと京は申し訳なさそうに肩を竦めた。

「母さんと一緒に話の長いお客に捕まっちゃってねえ…待ってると遅くなりそうだから僕が代わりに来たんだ」

「そう、ですか」

京に相槌を打ちながら、風弓はこちらへちらりと目配せする。

何だかんだ言いながら気遣ってくれる風弓に、晴海は小さく有難う、と告げた。





境涯(きょうがい)を隔てる囁き 終.