いとしいこどもたちに祝福を【後編】

「真都、どうして君が此処に…」

「それより兄様、この娘さんは兄様の何なんだい?駄目じゃないか、久々に恋人が出来たのならちゃんと教えてくれなきゃ」

まるで飼い主に尾を振る犬のように、真都は表情を弛ませて京に問い掛けた。

対する京は少し困ったように目を泳がせると、短く溜め息をついた。

「僕じゃない、彼女は陸の大切な人だよ」

「……あいつの?」

京の返答に、真都の表情が俄かに険しくなった。

「京さん、こいつ一体何なんだ」

風弓が苛立ったように訊ねると、京は珍しく無表情のまま抑揚のない声で答えた。

「真都は、僕の母方の従兄弟だよ」

「従兄弟…」

確かに、白金の髪色や蒼い眼は京と良く似ているが。

陸の名前が出た瞬間に、表情を一変させたのが気に掛かる。

「真都。君は伯父上の名代で春雷に来たんだろう?何故直接邸に来なかったんだ」

その言葉に、真都が春雷にいる理由を漸く理解した。

陸の帰還と愛梨が目覚めたことを祝うために、秋雨からやってきたのか。

「そんなことよりも先に、都叔母様がいらしたっていう病院へ来ておきたかったんだよ。叔母様は此処で亡くなったんでしょう?」

都、というのは――初めて聞くが話の流れから察するに京の母の名だろう。