「おい、てめぇ姉ちゃんに近寄んな!!」
領主子息と知っても尚、真都への言葉遣いを一切改めない風弓に、周囲の警備員たちは狼狽しつつも静観していた。
「美しいお嬢さん…どうかな、これから僕と食事にでも行かないかい?」
「…お断りします」
そう即答した瞬間、真都は再び大袈裟な仕草で頭を抱えて見せた。
「なっ…?!信じられない、まさかこの僕からの誘いを断る女の子がいるだなんて…!」
…何処かで誰かが似たようなことを言っていたような。
「ではお嬢さん、せめてお名前を教えて頂けないか?」
しかし真都はさっさと立ち直ったかと思うと、半ば無理矢理その手に両手を掴まれた。
「えっと、あの…」
「――晴海ちゃん!」
其処へ不意に割って入った声に、晴海と真都は同時に顔を上げた。
「京さん」
「兄様!」
(……にいさま?)
自分の知る限り、京には陸以外に弟はいない筈だが。
「何だ、君は京兄様の知り合いだったのか」
駆け寄ってきた京と晴海を見合わせて、真都は苦笑しながら頭を掻いた。
領主子息と知っても尚、真都への言葉遣いを一切改めない風弓に、周囲の警備員たちは狼狽しつつも静観していた。
「美しいお嬢さん…どうかな、これから僕と食事にでも行かないかい?」
「…お断りします」
そう即答した瞬間、真都は再び大袈裟な仕草で頭を抱えて見せた。
「なっ…?!信じられない、まさかこの僕からの誘いを断る女の子がいるだなんて…!」
…何処かで誰かが似たようなことを言っていたような。
「ではお嬢さん、せめてお名前を教えて頂けないか?」
しかし真都はさっさと立ち直ったかと思うと、半ば無理矢理その手に両手を掴まれた。
「えっと、あの…」
「――晴海ちゃん!」
其処へ不意に割って入った声に、晴海と真都は同時に顔を上げた。
「京さん」
「兄様!」
(……にいさま?)
自分の知る限り、京には陸以外に弟はいない筈だが。
「何だ、君は京兄様の知り合いだったのか」
駆け寄ってきた京と晴海を見合わせて、真都は苦笑しながら頭を掻いた。


