倫敦市の人々

胸の傷は浅い。

庇う素振りすら見せずに、再び八双の構えをとるジャック。

「なってないな」

アイヴィーは失意の溜息を漏らした。

「殺気ばかりが前に出て、動きはまるで只の獣だ。知性持つ者ならば、僕を落胆させないでくれたまえ。それとも…」

レイピアの刀身を見つめながら、彼はジャックを嘲笑う。

「やはり君も、ただの『家畜』かね…?」

「……!」

いまだ何も記憶は戻らない。

過去の自分がどんな剣術を使っていたのかも、どれ程の腕前だったのかも分からない。

それでもアイヴィーの挑発に乗り、ジャックは怒りに任せて刀を振るう。

上段からの斬り下ろし、返す刀で斬り上げ!

ロンペでこれを回避するアイヴィー。

大振りのジャックの隙に。

「ぐぅ!」

ファンデヴで左大腿部を突き刺す!