椎奈の花屋はホワイトチャペル地区にあるとはいえ、イーストエンドに程近い。

いつまでも店を開けているのは、ギャング達のカモにされてしまう。

「そろそろ店仕舞いですね…」

店先に並べた花を店内に運び込む椎奈。

「俺も手伝おう」

一宿一飯の恩義か。

ジャックも花を運ぶ。

それに付き従うように続くロン。

店内と店先を往復するジャックに、常について回る。

(よく懐いてますね、可愛い♪)

密かに微笑む椎奈。

と。

「!」

手伝いもせずにその様子を見ていたユヤが、突然シカゴタイプライターを構える。

「何コソコソ隠れて見てんだっ?出て来いっっ!」