倫敦市の人々

距離を置く二人。

共に腹部に致命傷。

尤も、普通の人間ならば、の話だが。

吸血鬼と化け物。

ここまでの傷を負っても、まだ命に関わる傷ではない。

それどころか大量の出血は徐々におさまり、傷口すら塞がり始めている。

「これよ、これ…倫敦大火や猟奇殺人事件の頃に夜な夜な繰り返していた、まさに身を削るような殺し合い…恍惚としちゃうわ」

ラミアの呼吸が荒いのは、傷の痛みによるものだけではあるまい。

「俺は本当にお前のような女と殺し合っていたのか…我が事ながら悪趣味にも程がある」

しかし、ここまでの攻撃を受けてもまだ立っていられる辺り、どうやらラミアの言う事は真実のようだった。