倫敦市の人々

「とにかく」

闇珠が言う。

「今夜は一悶着起こした後だから、大人しくしとかないと駄目なの、美麗も聞き分けて?」

「はぁい…」

唇を尖らせ、やや不服そうに返事する美麗。

「ケーキ食べたかったな」

そう呟きながら、塔の外壁に齧り付く。

美麗の一口分、抉れる煉瓦の外壁。

彼女はボリボリと音を立て、まるでクッキーでも頬張るみたいに煉瓦を噛み砕いて飲み込んだ。