倫敦市の人々

しかし。

「闇ちゃん闇ちゃん」

そんな闇珠のドレスコートの袖を、学校の制服のようなブレザーを着た美麗が引っ張る。

「お腹空かない?ご飯食べにいこうよ」

そう言って無邪気に笑う美麗。

彩とは対照的に、美麗は人懐っこかった。

闇珠が自分の目的、希少種として美麗を連れて行く旨を説明した時も、わかっているんだかいないんだか。

やたらニコニコと笑って、頷くばかり。

彩が奔放な迷い猫なら、美麗は人恋しくて誰にでもついて行く仔犬のような印象だった。