「今夜も寒くなりそうですねぇ」

軒先の花を店内に片付けながら、椎奈が掌に息を吹きかける。

「ユヤ君も片付けるの手伝って下さいよぉ」

店の奥で座っているユヤに声をかけるが。

「やだね、俺花屋じゃなくてギャングだもんね」

アカンベと舌を出すユヤ。

「んもぅ…」

プクッと頬を膨らませる椎奈。

その耳元を。

「え?」

木枯らしに乗って木の葉が掠めていった。

「…誰か…困ってる人がいます…」