「ねえ敬くん、それとね」



町中にジングルベルの鐘の音が響き渡る。


「ん?何?」



彼女は耳元に近づいてこういったんだ。
「ちょっと寒くない?」



「うん。そうだね」



「うんそうじゃねじゃなくてさあ、もうほんと鈍感なんだから」



彼女が両手を伸ばした。なんだそういうことか。



抱きついての合図だった。


しかたない。


僕もそうしたかつたところなのだから。