「ねえこれなんか欲しい」


「それはマジないよ」


「うーん。そうかなー。いいと思うんだけどなぁ」


そんなすねた表情がむしょうに可愛い。


時々ぎゅっと抱きしめたくなる衝動に駆られる。


ひとひらの雪が舞い降りる。


世界がまるでスローモーションのようだった。


この凍てつく夜に恋人達は何を思うんだろう。そして僕も。


僕はこのクリスマスイブに本当に過ごしたい最愛の人と過ごしている。


こんなこと1年前の俺には考えられなかった。


俺は世界でいちばん幸せなもんだという自身があった。冗談抜きで。