教室の前に立つ。




男性教師が講義をする声が聞こえる。




僕はいったん深呼吸をした。





ヨシッ!俺イケてる。




何がイケてるか我ながらよくわからないのだけれども。



ガラガラガラッ!重い引き戸の車輪の摩擦音が静寂の教室を切り裂いた。




クラスメイトたちの目線が一気に俺に吸い寄せられる。






それはまるで幾千の群衆に見られながら貼り付けにされる江戸時代の罪人にでもなったような気分だった。