―もっと、刺激的な恋を。―

〜見てるだけの恋〜
「えっ？やっぱり綾は田中だったんだ」
「うん。//」
合宿の夜、好きな人を打ち明けた。
親友の未来とは何でも話せる仲だったけど、好きな人を打ち明かしたのは初めてだった。
あたしは9年間想い続けていた人がいる
保育園が同じで家も近い。
いわゆる〝幼馴染〟ってやつ。
だけど、小学校に入ってからは喋らなくなってた。
同じクラスになったのも一回だけ。
「田中はひかのこと好きなんだってー」
こんな噂は何回も聞いてきた。
どうせあたしなんか眼中にもないんだろおなぁ…。
「諦めなきゃ…」
何回も言い聞かせていた。
でも、違う人を好きになろうとしても田中を考えてしまう。
喋らないのに。なんでこんなに好きなんだろう。

〜告白…？!〜
好きな人を打ち明かしたあの日からクラスは恋バナで盛り上がっていた。
「目、合っちゃった！」
みんなそんなことばっかり。
あたしは進展なし…。
クラスも違ってこんな恋叶うわけがないよね。
そう諦めかけていた。

「お前って田中のこと好きなん？」
隣の席の男子が聞いてきた。
「え…！うん…。」
あたしはそう答えるしか出来なかった。
「にや…あいつもお前のこと好きだよ」
え…？あたしは何も耳に入ってこなかった。嬉しすぎて。諦めかけていた恋だったから。

クラスの半分以上の女子が告白するようになった。
でも、みんなフられて泣いていた。
「うぅ…。綾。あんたはチャンスなんだから。がんばれ！」
「…うん！」
友達からの声が勇気のないあたしの大きな支えだった。
そして、あたしは田中を呼び出した。
「好きです…。」
「…おれも」