「ああ、コレ?」

宗方が俺の背中を指でツンツンする。

「こないだの期末が最悪だったらしいよ。数学なんて見るも無惨だったんだって」

俺の代わりにご丁寧に惨状を報告してくれる宗方。

「ふぅーん、そうなんだー。馬鹿って辛いねー」

ケタケタと笑うお嬢。

お前ら…死人に鞭打つな…!!

「まぁまぁそう言ってやんなよ、小田桐も赤は免れた訳だし」

四人の中で成績トップの羽山が歩み寄ってくる。

さりげなく慰めているつもりだろうが、その、上から下々の民を見下ろすような視線はやめれ。






ともかく何とか期末試験も終わり、あとは夏休みを待つばかりとなった。

せっかく知り合って仲良くなった四人だし、一度くらいはみんなで遊びに行くのもいいかな、なんて思っている。

「できればお泊まりで旅行とかいいよね。二泊三日くらいで」

お嬢が言う。

「おお、いいじゃん。海が近いとことかいいよな」

俺が頷く。

「卓也くぅ~ん…」

お嬢が、何やら邪な笑みを浮かべた。

「海に一緒に行けたら、私やゆきちゃんの水着姿とか見れる、なんて思ってんでしょ~?」

「は?」

そんなもん。

「当たり前だろが」

「う」

否定しなかったもんだから、お嬢が一瞬たじろいた。