やばいな、と思っていると、案の定お嬢は「そういう」会話に繋げた。

「だから、私が叩いたりするのは…その…好意を持ってる人でさ…」

「……」

緊張の度合いが、更にアップした。

「それって…?」

「うん…」

お嬢も緊張したように頷く。

「つまり私は…卓也君の事…」

そこまで言いかけた時だった。





「いっけねいけね、忘れ物しちまっ…た?」







突然ガラガラと引き戸を開けて入ってきたのは、クラスメイトの男子生徒だった。

俺とお嬢は、その男子生徒と目が合う。

…男子生徒は、固まっていた。

無理もないだろう。

教室に入ると、男と女が二人きり。

しかも男の方はシャツを脱いでて。

女の方はブラウスのボタンを留めかけている。

どう見ても、いかがわしい行為の後である。

「…お邪魔しました、ごゆっくり」

ピシャンと引き戸を閉めて立ち去る男子生徒。

「おい待てぇええいっ!!!!」

俺は慌てた。






あいつ、とてつもなく大変な勘違いをしてるんじゃないか!?