ちょうどソフトボールくらいの大きさになった水風船。

それを。

「小田桐、パース」

羽山が俺に投げ渡す。

中には水が入っている。

上手くキャッチしないと、風船が割れて水びたしだ。

「おっと」

膝のクッションを使って、上手にキャッチ。

「ほら、宗方」

「きゃあっ」

俺に水風船を投げ渡され、宗方が可愛い悲鳴をあげた。

「お嬢」

「うわっと」

宗方からお嬢へ。

スポーツは何でもソツなくこなすお嬢でも、水風船のキャッチはおっかなびっくりだ。

「ほら、卓也君」

お嬢からパスを受ける俺。

だんだん水風船のキャッチボールは、上手く受け取れるか、ではなく、誰のところで割れるか、を競うようになっていた。

「ほれっ」

「うわっ、パス!」

「危なっ!」

だんだんパス回しも早くなってきた。

「おら、お嬢!」

俺は羽山から受け取ったパスを、殆どノーモーションでお嬢へ!

その瞬間。

「きゃあっ!」

受け損ねたお嬢の胸の辺りにぶつかり、水風船は破裂した。