袋をひっくり返し、バッサバッサと振る。

中から出てきたのは。

「風船?」

小さな包みに入れられた、風船のセットだった。

20個くらいの風船が入っている。

よく駄菓子屋とかで売られている、昔懐かしの玩具って奴だ。

「水風船だよ、売ってたから買ってみた」

コーヒーを一気飲みした後、羽山が言う。

「暑いし、水遊びしたら少しは涼しくなるだろ?」

おー。

羽山、ナイスアイデア。

考えている事は女の事ばかりかと思っていたが、そうでもないんだな。

俺はコーラを飲みながら、水風船を一つ取り出してみた。

小さな風船は、中に水を入れる事で膨らむ。

普通の風船の、空気の代わりに水を入れるだけのものだ。

校内の水道のところまで行って、風船に水を入れてみる。

…中でチャポチャポと水音のする風船は、感触だけでなく、音もどこか涼しげだった。

「あは、なんかいいね、これ」

お嬢が楽しそうに手の中で水風船を転がす。

他の皆も、それぞれ水風船を作って遊び始めた。