体にまとわりつく、汗の染みたシャツを脱ごうかどうしようか、本気で悩み始めた頃。

「あっぢい~…疲れだ~…」

羽山がやっと校外の売店から帰ってきた。

頬には汗が流れ、口からは犬みたいに舌をベロッと垂らしている。

そりゃこの炎天下でパシリなんてやらされちゃあ、たまらんだろう。

「おー、お疲れ様ー」

お嬢が羽山の持って帰ってきた袋を受け取る。

「羽山君お疲れ様ぁ」

その横では、宗方が羽山の顔の汗をハンカチで拭き取ってやっていた。

…交際を始めた羽山と宗方は順調そうだ。

お嬢の目が光っている事もあり、羽山も前みたいにそこいらの女の子をつまみ食い、なんて事をしなくなった。

感心感心。

「俺のコーヒーは?」

「私のレモンスカッシュ~」

「コーラ、コーラ…」

すっかり喉が渇いてしまっていたのか、みんな口々に呟きながら、袋の中から自分の飲み物を取り出す。

そして、全員に飲み物が行き渡った頃。

「ん?」

俺は袋の底に、何かが残っている事に気づいた。

「何だこりゃ?」