RUN for YOU

「なあ裕斗ー」

「んー??」


歯磨きをしながら亮介が声をかけてきた。

「裕斗ってさ、あの子のこと好きなの??」

「あの子って??」


聞かなくてもわかるけど。

こいつはなんでこういう奴なんだろうな。


おれの心の底まで掴んでくるような、そんな奴だ。



「わかってんだろ、高橋瑠子ちゃんだよ。好きなんだろ、あの子のこと」


歯磨きを終えて、着替えながら言ってくる亮介。

なぜか、なにも言えなかった。


俺は黙って自分の支度を続けた。


「まあ、好きなら頑張ればいいじゃん??
俺は応援してるよ、裕斗のこと」

「よくわかんないけど、ありがとな」


この気持ちに、いつか決着がつくのだろうか。



今日の空は、俺の心のように曇っている。