RUN for YOU

タイム計測が全て終わり、初日の日程は終了。

疲れたけど、楽しかった!


「お疲れさん」

「裕斗先輩! お疲れ様です」


声をかけてくれたのは裕斗先輩。

汗で髪の毛が少し濡れていて、夕日に照らされて輝いていた。

その輝きに、ちょっとドキッとした。


「さすが、世界記録保持者の娘だけはあるな」

裕斗先輩は、優しく笑って、そう言った。

「ありがとうございます」


あたしもそう言って、微笑んだ。

今日のあたしのことも、見ててくれたかな?


お母さん。


「明日、練習って学校別だよな。
朝、ホテルの玄関で待ってて。……迎え、行くから」

あたしから少し目線をそらしながら、彼はそう言った。

「えっ……、いいんですか??」

「うん。だから待ってて」

「はいっ、ありがとうございます」


はしゃぎたい気持ちを抑え、笑った。

じゃ、また明日、と、軽く手を上げ、裕斗先輩は友達と一緒に去っていった。



あたし、いつからこんなにも彼を好きになっちゃったんだろう。

先のことなんで考えずに、なんでこんなに好きになっちゃったんだろう。

自惚れていたのかな。


あたしはまだまだ、わかっていなかった。