RUN for YOU

「お疲れ」


ぽんっと頭に何かが乗ったかと思うと、裕斗先輩の手だった。

「おっ、お疲れ様ですっ!」

いきなりでびっくりして、ヘンな声になっちゃった……。


「なになに、おまえ緊張でもしてんの??」


裕斗先輩がちょっとバカにしたように笑う。

……緊張しますとも!!!
好きな人が目の前にいきなり出てくれば。


「この合宿、陸上で有名な大学とか実業団のコーチとかけっこう来てるからなー。俺もがんばるわ」

裕斗先輩は軽く伸びをしながら、そう言った。


「そうですね。あたしも頑張ります!」

裕斗先輩みたいに余裕なんてないけど、なんとなく、体が軽くなった気がした。


……裕斗先輩のおかげかもね。