お母さんの目の前で、今度はあたしがお母さんの世界新記録を更新したい、そう4年前のお母さんのレースで思ったんだ。


もうお母さんの前では走れない。

もうあたしのレースをお母さんには見てもらえない。

そして、あたしのせいでお母さんは死んじゃったから……。


こうしてあの天才少女、夏原瑠子であるあたしは、陸上界から姿を消したんだ……。