銀髪姫と不良幹部

分かってるさ。


お母さんは悪くねぇ。


誰も悪くねぇんだ。


留学はもともと決まっていた事だし。


おじいちゃんが倒れたのも、留学が早まったのも、みんな必然なんだ。


お母さんが謝る事でも、泣く事でもねぇんだよ。


頭では納得している。


だが、心は正直だった。


だんだんと、目の前がボヤけていく。


「依亜…?」


不思議そうにこっちを見る空にぃ。


分かってるよ。


私が何も言わねぇからだろ?


でも仕方ねぇ…。


今口を開いたら…お母さんを攻めてしまう。


それだけはもう嫌なんだ。


誰かを傷つけるのだけは…。