次の日午後4時屯所にて

お菊「これとか似合うんとちゃいますか ?」

紫「凄い綺麗…
というか、こんな上等なもの…いい んですか?」

菊「そんなんええんよ〜
わっちの紫はんがもーっとめんこう なってくれんのやったら、気がれな く使っておくれやす〜」

紫「私はお菊さんのもじゃありませんよ …というか、私は可愛く無いですよ 」

菊「そんな事あらへん!
紫はんはわっちが羨むくらいの美人 さんになりますえ〜」

紫「ふふふ…ありがとうございます」

紫達が何をしているかと言うと、今吉野家の遊女として潜入するため、着物選びの真っ最中で有る。
お菊さんはそのことを知らない。
ただ、警護として配属されるとしか思って居ない。

今、着替えてる部屋の間となりが大広間になって居て、そこで幹部達が待っている。

菊「はい!出来た!」

紫「おー… 馬子にも衣装ですね」

菊「もー!まーたそんな事言って…
素材がようあらへんかったら、こん な綺麗になるはずないわ!
もっと自信を持たなあかんよ」

紫「あはは。ありがとうございます」

菊「ほなお披露目しましょ!
皆さーん!開けますよ〜
お紫のおなーりー」

【スー…】

「「「「「「「「……‼︎」」」」」」」」
そこにいる幹部の皆が驚きを隠せない様子だった。

それもそのはず。
淡い紫色の着物には、葵色の蝶が舞。
高く結い上げられた髪には、藤色の簪が刺さっていた。
そして、おしろいを極限まで減らした肌に桃色の唇。目元は碧を基調とした色だった。

今の彼女をみたものは誰しもが思うだろう。
『美しい』『綺麗だ』『素晴らしい』
と。

誰しもが言葉を失った。

紫「あのー…やっぱり…へんですか?」

そりゃあずーと黙って見上げられてたんじゃ不安にもなるだろう。

平「い、いや!変じゃなくてその〜…な んと言うか…」

左「何か、似合い過ぎて逆に怖いと言う か… 」

新「それに吉野家に居てもおかしくなさ そうあだなーとか思ったり…」

丞「一言で言うとめっちゃいおうとる! 」

幹部達&紫「お前、いつから居た?!」

丞「最初っからおったわ!」

総「ま。それはそうとして…
良く似合ってる。可愛いよ」

紫「あ、ありがとう…」

歳「其れで、今夜からでも行くのだろう ?」
紫「はい。
その場に慣れるのは大切ですから」

菊「ふふふ…ほんま、ええ子どすわ〜
これは、お座敷でもすぐに人気にな りますえ!」

紫「あはは。ありがとうございます」

総「ま、僕等もたまに行くから安心しと いてね」

平「おう!そうだぜ!
とにかく、頑張れよな!」

紫「あはは…ありがとう。
それじゃ、行ってきます。」