更衣室に入ると3年生の
紺野先輩がいた。

背が高くて可愛い顔をしている。

世の中でこういう人の事を
美人というのだろう。

私はペコッと頭を下げる。

後ろには中谷先輩。

胸がちくんと痛む。

そこでふと友達との会話を
思い出す 。

~紺野先輩って欲張りだよね~

その時は理解ができなかったけど
今になって分かった。

紺野先輩の下の名前は

真紀(マキ)だ。

私はまた胸がずきんとなるのが
わかった。

紺野先輩には同じクラスの
高台(たかだい)先輩という
彼氏さんがいる。

なのに…
中谷先輩にまで?

紺野先輩は
『用事はすんだから!』と
いって更衣室をでてゆく。

沈黙が続く。


私は『何でですか?紺野先輩には…』

言い終わらないうちに
『しょうがねーじゃん。マキが俺が必要って。』
彼の初めて見る苦しそうな顔に
胸が痛む。

『やだ。そんなの間違ってる。』
私は自分でも良く分からないことを
言っていた。

中谷先輩は、は?って
感じの顔をしている。


困らせちゃった…
けど…

『私が中谷先輩のことが好きなんです。』

私は震えた声をしていた。

『だから…だから…そんな顔しないで。』

中谷先輩は困った顔をしている。

私はその場から逃げ出した。

追いかけてくる中谷先輩。

振り返っちゃイケナイ。

外に出て雨が降ってるのが
分かった。