(…あぁ…どうしてこうなるんだろ…。)
野次馬から離れようとふらふらとその場から歩き出す。
すると後ろからパチパチと手をたたく清々しい音が聞こえる。
からかわれたのかと思い、ギロリと後ろを睨みつけると、黒いスーツ姿の男が1人で拍手していた。
「さすがです、疾風さん。カタギさんとの喧嘩は感心しませんが……それでこそ、矯正しがいがあるってもんです。」
…は?誰こいつ。
家に数人似たような格好の奴はいるけど、こんなに若い奴は知らない。
とりあえずその筋の奴だということはわかるので、とにかく場所を変えたい。
「誰?あんた…話があるならよそで聞くよ」
すると眉を寄せ、おや?という顔をする。
「あれ、親父さんから聞いてないのか…まぁいい。ほれ、野次馬は帰った帰った。」
周りに群がっていた学生を何ともいえないオーラで追っ払う。
まぁその野次馬お前のせいでもあるんだけどね?
ぼーっとその光景を見つめていると、帰り始めた学生をかき分けながら、でかい男が走ってくる。
「疾風さーん!!はーやーてーさーん!!!大丈夫ですかーー!!!」
「えっ太郎!?」
いつも車の中で待っているはずの太郎がかけつけてきて驚く。
そして目立つ。
「どっ、どうしたの太郎!?なにしてんの!?」
「どどどどうしたもこうしたもありませんよ!!疾風さんが、疾風さんが殴られたって聞いて!!」
「は、え!?な、なんで知ってんのよ?!」
「くそ!!誰だ疾風さんの綺麗な顔に青痣作った奴ぁ!!!オルァ!!!」
「あそこの白目むいて倒れてる奴だよ。てかあんな弱いパンチで痣できないよ。口は切れたけど。」
「気持ちいいくらいに蹴りくらってましたね。俺はどっちを助けるべきか迷いましたよ。」
「それでどっちも助けなかったんだ?てかお前誰」
「それは詳しく車で説明しますよ。とりあえず帰りましょう。」
そしてまた学生達が群れを作り出した頃、やっと私達は校内から出た。

