こいつ……どこまでも汚い。
大和が眉間に皺を寄せながらこちらに銃口を向ける。
大和は柄にもなく撃つのを躊躇っているみたいだ。
「……大和!!!」
たまらなくなり叫ぶ
「ッあたしを!!殺す覚悟で撃ちな!!!!」
それは、お爺ちゃんが、大和が…
あんたが、教えてくれたことでしょ…?
目の前の大和が少し口を噤み何かを考えた後、口を開いた。
「…わかったよ。」
静かな空間に、カチャリと冷たい鉄の音だけが響く。
『ッパン!!パン!!』
首に痛みが走る。
弾が掠ったようだ。
不意に抱きつかれていた腕の力が弱くなった。
隙をみて後ろを振り返ると、肩を撃たれた影山がうなだれていた。
逃げようとすると、腕を掴まれ引き寄せられる。
両腕を、撃たれていない左腕だけで固定され押し倒された。
「ちょっ…!…っう!あぁ…!!」
血が出ている首に吸い付かれ、痛みとゾクリとする感覚で頭が真っ白になる。
『ッパァン!!』
もう一度銃声が鳴り、今度は影山の脇腹を撃った。
大和がこちらに近づき、私を持ち上げて抱える。
「……この変態野郎が……うちのにこれ以上傷痕でもつけてみろ……今度は目玉ぶち抜くぞ…」
そうとだけ伝えると、倒れている襖を踏みつけながら出口に向かって歩き出した。
影山はもう喋ることもこちらを見ることもしなかった。
大和に抱えられていてずっと大和の顔は見えなかったけれど、去り際に見た影山の顔は笑っているように見えた。

